君が好き




「結構遠いよな」

「すごい…
見えるんだ…」



少しずつ動いてしまう観覧車。

ゆっくりゆっくりと
花火はビルに重なって、次第に見えなくなってしまった。



だけど、
絶対忘れないだろう。


この花火を。

高校3年、
世界一好きな人と見た、
この花火を、
俺は一生。





「…会長」




自分が手を引いてしまったとはいえ、
この近い距離で話し出した加藤にビクリと体が震えてしまった。


観覧車。
同じ椅子。

そんなに広くないわけで。


向かい合っていてもなかなかの近さなのに。




「…ん?」



自然を装って向かい側の席に移動しようとしたが。





…ん?





こ、これは。









< 102 / 233 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop