君が好き
「結構遠いよな」
「すごい…
見えるんだ…」
少しずつ動いてしまう観覧車。
ゆっくりゆっくりと
花火はビルに重なって、次第に見えなくなってしまった。
だけど、
絶対忘れないだろう。
この花火を。
高校3年、
世界一好きな人と見た、
この花火を、
俺は一生。
「…会長」
自分が手を引いてしまったとはいえ、
この近い距離で話し出した加藤にビクリと体が震えてしまった。
観覧車。
同じ椅子。
そんなに広くないわけで。
向かい合っていてもなかなかの近さなのに。
「…ん?」
自然を装って向かい側の席に移動しようとしたが。
…ん?
こ、これは。