君が好き
はい、こんにちはー
あーはい、こっちで大丈夫ですよ
写真ですね、はい、これだけで大丈夫ですか?
バイト先の遊園地。
あっついし、混んでるし。
でもまぁ、たぶんこういう仕事が俺は向いてる。
…高校出たらこのまま就職してしまおうか。
そんなことを考えていれば。
「あ、亜紀!あっち!ほら」
聞こえた名前に思わずそちらを向く。
…嘘だ
違う。
夏休みに入ってから
一度もあってなくて。
もちろん、連絡も取ることもなくて。
だけど、好きで、好きで、好きで。
たまらなかったその人が、
そこに居て。
「…あ、うん」
穏やかに笑って。
やっぱり、綺麗で。
やっぱり、変わらず俺は彼女が好きだと、思わずにはいられない。
だけど。
隣に居るそいつは、
きっと。
「亜紀、はぐれる」
きっと
「あ、ごめん、タカシ」
きっと、彼女の心を揺らすことのできる、人だ。