君が好き
そっと、背を向けた。
幸い俺の担当は
子ども向けのアトラクションだから。
きっと彼女は気付かない。
それでいい。
そんな存在でいいんだ。
変に近づいてしまえば、辛くなる。
だったら。
「あ、はーい、チケットはそっちです」
遠い方が良い。
遠くから勝手に片思いをしていた方が
ずっと楽だ。
友達になって支えたい。
どんな関係でもいい、傍に居たい。
そんな気持ちは
彼女と、その大切な人のツーショットを見た瞬間に崩れ去った。
好きな人の幸せを願う、なんて台詞よく見るけど。
俺は、無理だ。
こんなにつらい。
加藤のこと好きな気持ちを
捨ててしまいたいと思ってるんだ。
そうじゃなければ、
奪ってしまいたい。
加藤のことを。