君が好き
「ねぇ!優くん!飲み行こうよこのあと!」
「いやいや、俺、まだ高校生ですから」
「えー」
「お先、失礼しまーす」
大賑わいだったバイトのおかげで、
加藤のことは思い出さずに、
いや、それは嘘。
強がった。
加藤のことをそんなに気にせずにできたし。
あんな人の中、
加藤のことを見たのは
あの一度だけだった。
逆に、何で見つけちゃったんだよ。
なんでこういうときだけ…。
「ぬお!」
大いに自己嫌悪に浸りながら開いた携帯の画面。
そこに映し出された名前に衝撃を受けた。
「…加藤?」
驚いたことに
加藤からの着信履歴が。
一応登録している番号。
だけど一度もそれがなったことなんてなかったのに。
いったい、何だっていうんだ。
しかも、このタイミング。
あ、もしかして、あれか。
彼氏とぉー
デートしてたらぁー
会長バイトしててぇー
みたいな?そういう?