君が好き
…やめよう。
そんなこと考えるのは。
彼氏と会った後に俺に会う。
だからなんだよ。
加藤に会えんだぞ。
それだけで。
それだけでもう、幸せだろ、俺は。
情けないけど、
俺は加藤が好きで。
だけど加藤には多分好きな人がいて。
そんな事実はほんの少し胸を痛めるけど。
でも、いいじゃないか。
会えるなら。
「あ。」
女々しい思考を持って入った駅前のコンビニ。
お菓子でも買おうと入ったそこで見つけた
手持ち花火。
…加藤、喜ぶかな。
「いらっしゃいませー」
「あ、これも。
お願いします」
観覧車で見た花火。
あれは打ち上げ花火だったけど、
加藤喜んでたし。
好きなんだろうか、花火。
大人っぽいように見えて。
実は、子どもで。
目を輝かせたり。
怒ってみせたり。
そんな加藤が見たい。
やっぱり女々しい思考に苦笑いをこぼして、そして思う。
…これ、加藤と付き合えたりしたら、
俺、破産するんじゃないか。
貢ぎすぎて、死ぬ気がする。
ほら、付き合ってなくてよかった。
正当化してみせた瞬間、
「会長!」
耳に届いた心地よいその声は
胸が高鳴らせる。
「加藤」