君が好き
昼に見かけたときは服装まで見る余裕なかったけど、
多分、同じだろう。
なんだ。
そんなひらひらしたスカートで行ったのか。
遊園地にスカートで行くなよ。
なんだよ。
くそ、可愛いな。
「お久しぶりです」
「久しぶり」
元気だった?とか。
何してた?とか。
ありきたりな会話。
だけど、幸せだ。
「バイト?
どこでですか?」
「ん?遊園地。」
プラプラと宙に浮く右手が
たまに加藤の手に触れる。
それが気になって。
正直、まったく会話が耳に入らない。
つか、考えられない。
気になるから少し離れてみると
まぁ、道わかんないから当然なんだけど
加藤も同じだけ近づいてくるから。
なんだこれは。
拷問かよ。
「へぇ、どこの?」
「ん?あの、ホールんとこの」
言った後、気付いた。
しまった、と。
「え…?」
横をみれば、驚く加藤の顔があって。
どうしよう。
「会長、今日も居ましたか?」
困ったような目がこちらを見ている。
こんなとき。
なんて答えればいい?
見たって。
言えばいいのかな?
彼氏と仲良さそうに歩いてるトコロを、見てしまったって。
そしたら加藤、慌てるかな?
いや、まさかな。
多分、君は笑う。
あ、ほんとですか?なんて簡単に言って。