君が好き






「よく来るんですか?この山」

「いや、久しぶりだよ。
中1のとき行ったのが最後、かなぁ」



そういえば初めて付き合った彼女。
まだ付き合う前、友達として来たな、ここ。


あの時は
マモルがギャーギャー騒いでて。

マモルが狙ってた女の子が
暗いのが怖いって、泣きだして。


「…思い出してる?」

「ん?」


横を見れば堅い笑顔とすべてを見透かすみたいな大きな目。


「すっごく優しい顔してるから。
大切な、思い出なんですね」


多分。
優しい顔してるなら。

その理由は、君だよ。



「いつか。」


その笑顔をほぐしたい。
ちゃんと、笑顔になって欲しい。


「今日のことも思い出すのかもな。」


笑って言えば、
加藤の笑顔はほぐれるどころか崩れて。

結局、うつむいてしまった。



「加藤、前向かないと歩けないぞ」


その場から動かなくなってしまった彼女。




もうすぐ、流れ星の極大時刻になる。



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