君が好き
「行くよ」
掴んだ小さな手。
このことも。
きっと、いつか思い出す。
初めて会った日のことも。
あのお祭りも。
屋上でのことも。
絶対、忘れない。
「ほら、着いた。」
あれから黙ったままの加藤の手を引いて。
空を見上げれば。
「…すげぇ」
満天の星空。
キラキラと輝くそれは、本当に想像以上で。
俯いたままの加藤にも、なんとか見て欲しくって。
「加藤、ほら、見てみな」
顔を覗き込めば、
「…加藤?」
彼女が泣いていたことにやっと気づく。
「加藤?あの、どう、した…?」
また何か言ってしまったのだろうか。
俺は、いっつも加藤を泣かせてばっかだ。
おどおどして何とか言葉を探すが、
上手く話せなくって。
「…なんでもないんです、ごめんなさい」