君が好き





こんな時、
なんて答えるのが正解で。

なんて答えたら彼女を笑顔に出来るだろう。



タカシ、なら。

なんて答えるのだろう。




「加藤、」



だけど。
俺は、そいつじゃなくて。

加藤のことを、亜希って呼べる、そいつじゃなくて。


だから伝えることができるのは、俺の言葉で。




「空、見てごらん。」



上手い事も言えないし。
笑顔にすることはもちろん、
涙を拭うことも出来ない。


「…うわぁ」


なぁ、加藤。
そんな俺だけど、
1つだけわかる。


今、この瞬間もさ。


君が好きだ。





眩しそうに空を見上げる横顔が可愛くて。
キラキラ輝く目が綺麗で。

頬を伝う涙が、切ない。




「加藤、あのさ」



笑ってよ、加藤。
頼むから。



「俺さ、加藤のこと、好きなんだ。」


もう、こんなこと言わないから。
君を困らせたりしないから。




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