君が好き
「ま。最後のクラス行事もあることだしさ。」
「文化祭な!気合入れてやろうぜ」
…この高校に入ってよかった。
それは、加藤に出会えたのはもちろん。
こうやって笑いあえる仲間が居て。
「…楽しみだな、文化祭」
「おう。」
「ね。上本、頑張ってよ?」
しつこいようだけど。
思う。
加藤が前の街を大切なのは、当然だ。
こういう、大切な仲間が、きっといるんだ。加藤にも。
…勝てるわけ、ないよな。
勝てるわけ、ないんだよ。
「ホームルーム始めるぞー!」
…もっと、早く出会えてたら。
いつか、誰かがこんなようなことを言っていた気がするけど。
今の俺にはそれが誰が、どこで言った言葉なのか、思い出せなかった。
いや、思い出したくなかっただけかもしれない。