君が好き
「かいちょー!!」
「おお、いってぇな」
案の定、飛びついて来た千田。
その体を受け止めながら少し視線をずらせば。
…いた。
「…こんにちは」
「…うん、久しぶり」
微笑む加藤がそこに居る。
たったそれだけで痛む胸は、もう病気かもしれない。
「勉強、はかどってますか?」
「うん。おかげさまで」
「おかげさまってなんですか!?
ね!おかげさまって!」
「千田、ほら、入るぞ、歩け」
加藤のおかげだよ、本当に。
どう言えば思いの丈が伝わるだろう。
伝えたくて。
だけど、困らせるのは嫌だから。
だから、伝わらないで欲しいんだ。