君が好き
「あ、会長!」
「おぉ、千田」
並んでいる人の整備の担当らしい千田が俺を見つけて駆け寄ってきた。
「会長!こっち!VIP入りまーす!」
「え、いやいいよ、並ぶって…」
「いいじゃん、ゆーいち!」
…まぁ、いっか。
加藤に早く会いたいし。
と、この時は思ったんだけど。
ちゃんと並んどけばよかった。
そしたらあんな場面、見なくて済んだのに。
「あ、会長」
…あ、やばい。キュンと来た。
入った瞬間のあの笑顔。
しかも、マジかよ。
浴衣!?
何故!?
驚いて周りを見れば、他もみんな浴衣だった。
千田も浴衣じゃん。
何動揺してんだ、俺。
「浴衣なんだ?」
「え?あぁ、そうなんですよ。
はい、ここどうぞ」
…似合ってる、の一言が、言えないのだ。