君が好き





…くそ。

「何にしますか?」

「おすすめは?」

「うーん、これかな」

「じゃあ、こっちで。」

「ちょっと!」

「はは、嘘ウソ。おすすめの方で」


あぁ、久々だ、この感じ。


加藤だ。
加藤が居るんだ。



「…なんかさ。」

「ん?」


注文を終え、
加藤の動きを眺めながらモノが届くのを待っていれば
マモルがしみじみと語りだした。

「お前さ、思ったよりもちゃんと男なんだな」

「は?」

何を言い出したんだ。

あ、こいつさっきも
「あー!別にもともと男が好きなんでは?とか疑ってないから安心してな。」

…何だ、焦ったわ。


「いやさ。
ほら、何つうか…。

お前、思い出したらいやかもしれないけど。
中学の時の結衣ちゃんにはさ。
付き合ってもそんなに自ら話しかけたりしなかったじゃん。

常に受け身で。」


初めてそんなこと聞いた。

「…やっぱ、そうだった?」

「うん。」


結衣っていうのは、昔付き合っていた彼女。
好きになったと思ったら、フラれた人。



…そっか、そんなに俺はあからさまに受け身で居たのか。




「そりゃ、ふられるわな。」

「え?」




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