君が好き




最近じゃ、加藤を見ることさえ出来ない。

最近彼女は、どんな顔をして、どんな風なんだろう。



…なんて。
俺が心配しなくても、
加藤のこと支える人は、いくらでも居るじゃないか。



俺が、いなくたって。




「…山田先輩、これって……」



そんなとき、聞こえたその声。
胸が詰まり何故だか頭が痛む。


なんだよ。
そんなの、俺に聞けばいいじゃん。

思ってみてから気付く。




…加藤は、俺が話しかけない限り、きっと話してくれない。

所詮は、そんな関係だったんだ。
俺がどうにか距離を詰めなきゃ、縮まらない。

近くに行くことは出来ない。



何だよ、それ。
なんも、ダメだったじゃん。

加藤の好きなタイプの1つも聞けず。
だから、
距離を縮めることももちろんできず。




なぁ、加藤。

君が楽しいと言ってくれたこの街の、
ほんの一部にでも俺は含まれていたのかな?



今も、この街は楽しいですか?





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