君が好き
「じゃあ、こっちです、私」
「え?」
突然振り返った千田に驚けば、
もう目の前に駅。
「…うん、じゃあ。」
「かいちょ!合格したら一番に教えてね
かとちゃんはまた明日」
「はいはい」
「また明日」
揃った声に、顔を見合わせ、すぐにそらした。
千田の後姿が小さくなっていくにつれて、
加藤と二人きりの空間になって。
どんどん酸素が薄くなるようで。
「帰ろっか」
「…はい」
彼氏に会ってから
避けるなんて。
あまりにわかりやすすぎるだろ、俺。
分かってんのに。
どうしても、普通、が出来ない。