君が好き





「加藤、あっちだよな」

「…はい」


「うん、じゃあ…」



人もまばらなこの駅で。




初めて会ったのは、確か、ここだった。

おんなじ横顔。
電光掲示板を見つめるのは、同じなのに。



…別れ、だよな。

多分、ここで。



勝手に恋して、
勝手にフラれて、

加藤。



すんげぇ、好きだった。


すんげぇ、好きだったよ。



この5か月。
初めての思いがたくさんだったよ。


まだまだ、
彼氏と幸せになれよ、なんてことは言えそうにないけどさ。


でも、思うよ。

笑っててくれって。



俺の知らないどこかでも、
加藤が幸せで有りますようにって。



だから。



「加藤、」







だから、さ、加藤。






「ありがとうな、いろいろ。」





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