君が好き
「…で?決まった?」
「…うーん」
季節はもう11月。
今の時期に明確な志望校を決めてないって、俺以外に居るのだろうか。
「お前、そんなんでよく勉強できるよな。
なんだ、そのモチベーションは」
…加藤です。
なんてことは言えるわけもなく。
「なんでしょうね」
曖昧に笑って
目の前に広げられた資料を見る。
「…留学、か」
「興味あるか?」
入学後、3か月以上の留学が条件…。
留学でもすれば
加藤と必然的に離れるから忘れられるだろうか。
「興味、は…」
行ってみたら、楽しいかもしれない。
それを興味といえるのだろうか。
…多分、違うよな
「ないよな。
上本はそういうイメージじゃねぇもん。」
…苦笑いで頷けば
担任は大きく息を吐き出した。
「しっかし、あれだな。
もったいないな。
お前、行きたいとこどこでも行けんのに。
いまいちやりたいことがないっていうのはさ。」
やりたいこと、か。