君が好き
「あー、楽しかった。」
「…俺は疲れたよ」
あの後もへばり付く千田を引き剥がそうと苦悩し、
結局、俺はなぜか駅まで千田をおんぶしたのだ。
「会長」
「なんだよ、もう嫌だぞ」
「何その嫌そうな顔!」
キャッキャと笑う千田の頭を軽くたたいて駅の階段を上がる。
「あ、待って、かいちょ…」
「だから、なんだよ…」
と、
振り返った時だった。
「…あ、」
「あ」
そこに居たのは、
「…おひさし、ぶりです」
セーターを着た、マフラーを巻いた。
「久しぶり、加藤」
好きで、好きでたまらない人だった。