君が好き
「あ!私塾だ!
バイバイ!かとちゃん!じゃあね、かいちょ!」
…あいつ、塾なんて行ってないくせに。
どこでどう気を使ったのか、
風のように去って行った千田。
残された俺と加藤。
学校で見かけることはあった。
だけど、
それは体育をしているところを見たり、
帰ってるとこをを見かけたりっていうこっちの一方的なもので。
こうやって面と向かうのは久々だ。
「久しぶり」
「…本当に」
あの、ホームで話した以来のこと。
久々に見てもやっぱり綺麗で。
戸惑ったように揺れる瞳に
こっちの心も揺れる。
それで。
思うんだ、強く。
「加藤、元気してた?」
「…はい。」
俺はやっぱり。
「会長は?」
「うん、元気にやってるよ」
やっぱり。
好きだ、加藤のこと。