君が好き
「受験、外部なんですよね?」
「うん。」
会話を続けてくれた。
それだけでもう、幸せで。
…もう少しでいい。
一緒に居たい。
「かと、」
「あの…」
同時に発した言葉。
お互いに目を開いて、笑う。
「どうぞ、」
「いや、会長からどうぞ」
「…いや、俺は大したことないから。」
…ただ俺は。
もう少し一緒に居たいって、
ただ、それだけを言おうと思っただけだから。
「じゃあ」
何か決め込んだように顔をあげた加藤が
大きく息を吸い込んだ。
伏し目がちだった目線をあげたかと思ったら
また下げて。
「ん?」
そんな様子に少し笑ってしまえば
加藤も小さく微笑んでくれた。
「寒いから、もう、帰りましょ」
微笑んだ君がそう言って。
息が白く光って消えた。
「…だな。」