君が好き
年が明けた。
いよいよ受験が今月から始まる。
あの走り去った電車は
なんだかいよいよ自分の最後の希望を断ち切って。
逆に吹っ切れていた。
自由登校になったから
学校には行っていない。
だからかもしれないけど、
加藤への思いは少しずつ薄れてる、ではないけど。
表面的に出ないようにフィルターがかかったようで。
「ねぇ!ゆうにぃ!」
「ちょっと!ゆーいち受験生なのよ!静かにしなさい!」
「いや、いいよ」
「何言ってんのよ、あと一息なんだから!」
「ねぇゆうにぃ、これやって」
「ん?どれ?」
「これー」
「ねぇゆうにぃ歯とれたー!」
「え?どれ?前歯じゃん!ははは」
…正月といえば、のこの大騒ぎ。
親戚の集まりも楽しく過ぎ去り。
いよいよだ。
明日が、最初の試験。
「ゆーいちー!俺のゆーいちー!」
「んだよ!うるせぇな!」
その夜。
突然、窓の外から聞こえた声。