君が好き
大袈裟な言葉になるけど、
君に出会えただけでもう、
俺の一生分の幸せは、幸運は使い切ったのかもしれない。
今、やっと分かった気がする。
加藤、俺はさ、
君が幸せならそれでいい。
君が笑ってくれるだけで、もう構わない。
…笑う君の横に居るのが
誰だろうと、もう、そんなことはどうでもいいよ。
初めて話した駅のホーム。
初めて本当の君に触れた気がしたあのお祭り。
初めて涙を見たのは屋上だった。
最初で最後のデート。
観覧車から見えた花火は、一生忘れない。
突然の電話、空に広がる満点の星空と、真っ黒になった加藤の目と、手持ち花火。
苦しいほど好きだと思った、君のことを。
そんで、文化祭。
君の好きな人を見ていられなくて俺はすぐに逃げてしまったけど。
今思う。
しっかり、目に焼き付けるんだった。
ちゃんと、見とくんだった。
幸せそうに笑う君を。
好きな人に、どんな顔をするのかを。
…馬鹿だ。
テストの前日に、何考えてんだよ、俺は。