君が好き
「ん?なに?あんた誰かにもらう予定とか…え!?高3にもなって彼女いないの!?」
「…うるせぇな」
「なっさけない」
…なんだよこいつ。
「なんだー、あの美人さんは彼女じゃないのねー」
「なんだよそれ」
さっきからなんだよとしか言えてない気がする。
でも、それくらいなんだよ、なんだ、こいつは。
昔から姉と妹に挟まれた俺は
なかなかのパシリとして育ったと思う。
姉貴は俺のことそりゃもうぼろくそに言うし、
そんな姉を見て育った妹も言いたい放題。
「ほら、夏休み、あんたデートしてたでしょ?
駅前でさ。」
「駅前でって、なんだよ。」
駅前でデートってなんだそれ。
あ、また、なんだよ、って言ってる。
「えー違うのかな?
いや、そうよ。
あの美人ちゃんがこの前カフェでバイトしてて、
優一の彼女でしょって言ったら…」
「やめてくれよ、知らない人に絡むなって。」
…そうだ、こいつはそういうやつなんだ。
小学校の時、俺宛てのラブレターに勝手に返事を書いたり、
俺の携帯を勝手にいじったり…
「ただの友達ですって言ってたけど。」
「ただの友達って言ってんだからそうだろ」
「ほら、あれかと思って。
芸能人がよくいうやつ。
ただの友達ですって。
あれ絶対付き合ってんだから。」