君が好き





「ほら、降りるぞ?」


簡単に人の心を揺らして、
簡単に持っていく。



「よし!偉い」



…ズルい、ズルいよ、会長。





かっこよすぎるじゃん、そんなの。




死のうとしてたんだよね、あの子。


その子の心を簡単に溶かして、
そっと寄り添って。



私と話す時とは全然違う
少し厳しい、だけど優しい口調。


「だからって、死ぬなよお前。」


笑うと目が無くなって皺が寄る。
笑いをこらえようとしても喉仏が動いちゃうからすぐばれる。


この2か月半。
過ごした時間はそのぐらいなんだけど、
たったそれだけなんだけど。



彼の存在は、
今や他の誰より大きい。



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