君が好き
それが確かめたかったから、
私は夏休みが嬉しくて。
だけど、
…いま、なにしてんだろ。
ちゃんと勉強してんのかな。
夏休みの間中、思い出すのは、
彼のこと、ばかりで。
嘘だよ、違うの。
私が好きなのは、
隆史なんだって。
『亜紀?着いたんだけどさ…えっと』
悶々とした思いを抱えていた。
そして、やっと訪れた
隆史に会える日は、
たまたま流星群もやって来る日だった。
『あ、見つけた』
トクン。
久々に見つけたその姿に胸がなる。
ほら、やっぱりそうじゃん。
わたし、ちゃんと好きなんじゃん。
「あーき!」
所構わずギュッと抱きしめるところも変わってない。
変わってなくて、そんで。
観覧車の中、あんな近くにいたのに抱きしめたりしなかった会長とは違うんだ。
「亜紀ー!元気だったか?
俺がいないから寂しかったんだろ?ちゃんと友達出来たのかよ?
どーせ人見知り発揮してんだろー!」
「ちゃんと楽しくやってるよ!」
だって、会長がいるから、なんて言葉は、飲み込む。
飲み込むどころか、そんなことを考えたってことを否定したい。
会長がいるから楽しいんじゃなくて、楽しいところに会長がいた。ただ、それだけだ。
「あ、俺さ!あそこ行きたい!亜紀んちの近くにある遊園地」
そんなわたしの気持ちを知らない隆史は無邪気に笑う。
それでいい。
無邪気に笑う隆史が居て、私はそれを穏やかに笑って見てる。
それでいいんだよ、きっと。
誰かの笑顔が頭の中をかすめた気がしたけど、そんなことは、忘れてしまおう。
「いいね!行こう」