君が好き
気まずい沈黙が続く中、
二人で並んで帰る。
隆史は、
黙って頷いた。
『そっか、』
と、一言。
それ以来、何もしゃべらない。
「…隆史、ごめん、私…
好きな人が出来た」
支えてくれた人。
ずっと、隣に居てくれた人。
そんな人を差し置いても貫きたい気持ち?
ちゃんと好きなの?
一瞬の気の迷いじゃない?
会長とも離れ離れになったら、また気持ちが揺れるんじゃない?
いろんな気持ちが交錯した。
だけど私は。
「…ごめん」
もう、限界だった。
本当は、ずっと気づいてたのかもしれない。
隆史と電話しながらも
別の人を思う。
彼といるときに来る隆史からのメールに、
気持ちが沈む。
そんな場面に出くわす度に、
私は私が嫌いになった。