君が好き




それから。
早くいきたい、という気持ちはなんとか抑え、
軽くシャワーを浴び、
分かりやすく気合の入ったワンピースを着る。


鏡に映る自分があまりに嬉しそうで、楽しそうで、自分自身で苦笑してしまった。





そこから大慌てで向かった駅。


丁度駅前のコンビニから出てきた会長の姿。



「会長!」



会いたかった人が。
会いたくてたまらなかった人が、そこに居た。




そこからなんでもない会話を続ければ、
会長が今日行った遊園地でバイトをしていると知った。



ここでやっと頭の片隅に居た
隆史のことが思い出される。


…自分だけが幸せになろうとして、隆史のことは忘れてて。



あぁ、最低だ、やっぱり。




自分の最低さに嫌気がさす。

だけど、会長といるとそのことさえ少しずつ幸せに色を変えてしまう。



…ダメだよ。
ダメだよ、私。



私ばっかりが、幸せになろうとしたら。





「いつか
今日のことも思い出すのかもな。」




言われたとき、ハッとした。



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