君が好き
やっぱり俺は弱くって、泣いてしまうんだけど。
彼女の前で泣かなかっただけ、
大人になったと思うんだ。
彼女の今住む町は、
俺らの町なんかよりもずっと
いろんなものがある所で。
そこに居る都会的な奴のこと、
大好きな彼女は好きになったんだろう。
「…はは、あっけな」
来る時は、楽しみで仕方なくて。
着いてからは、繋ぎとめたくて。
だけど、今は。
なんだろう、この気持ちは。
…忘れたい?
いや、そうじゃない。
なんつうか、
うまくは言えないんだけど。
ただ。
「…どんなやつなんだろうなぁ」
彼女に、あんな顔をさせる男を単純に、知りたい。
聞いてみたい。
どうやって、
あの強情な彼女を、
強い、負けず嫌いのあの子を
頼らせたの?って。
何事も流されることが多い。
だけど自分の意思はある。
大人で、強くて、冷静で。
そんな彼女は今覚えば、
俺の憧れだったのかもしれない。
「幸せに、な。」
まだ少し胸は痛むけど。
確かに痛むけど。
彼女が幸せだったらいいなって、
素直にそう思った。