君が好き
「あら、ゆうちゃん!?」
「へ?」
マモルは部活、
生徒会の活動もなく
久々に早く家に帰れると思っていた夕方。
知っている声が投げかけられた。
「わー、やだぁ、久しぶりね、こんなかっこよくなっちゃってぇ」
「あ、かずさん?」
そこに居たのは地元の商店街にある駄菓子屋のおばさん。
中学の頃は良く帰り道に行ったけど高校に入ってからは全然行ってなかった。
少し老けたけど優しさそうな笑顔は変わらない。
「そうよぉ、覚えててくれたのー?」
嬉しいわーときゃぴきゃぴはしゃぐ。
あぁ、そうそう。
こんなんだった。
なんだか嬉しくなって思わず笑みがこぼれた。
「どこに運ぶんですか?」
かずさんが両手に抱える段ボールを受け取りつつそう言ってみると
ありがとありがとーと言いながら商店街の広場を指さす。
「この商店街、寂れてきちゃったじゃない、ほら、大型スーパー出来ちゃって。
だから、客を引き戻そう!ってことで、今度お祭りやるのよ
その準備で」
あぁ、なるほど。
指さした先の大きな建物に頷く。
「なんか出来ることあったらやりますよ」
自分の育ってきた街の商店街。
たくさんお世話になってきたわけで。
「あらぁ、助かる!
もう、おじさんおばさんじゃ全然はかどらなくって」
こういう人の笑顔が見られなくなるのはやっぱり寂しいから。
ほぼ何も入っていないカバンをかずさんのお店に置かせてもらいさっそく準備に取り掛かる。
「おぉ!上本さん家のゆうちゃんか!」
「わぁ、懐かしい、手伝ってくれるの?ありがとねー」