君が好き




「あぁ、千田」

くるりと振り向けば思っていたより近い位置のそいつ。


「お祭り!」

その手に握られているのは
あのポスター。


「これ、かいちょーです!」

「え…?」


驚くこっちには何の反応もせず
なぜだか少しむくれている、


「かいちょーと、誰ですか?」

「いや、待てって、千田」


なんで怒ってんだこいつ。

あれは加藤だと素直に言おうかと思ったが、ふと考えた。



『まーた、かとちゃんですかー?』



もっとむくれてしまうかもしれない。



千田は気分屋だ、
いつもニコニコしてるが
だからこそ怒り出すとめんどくさい。



そんな思いから言ってしまった。




「千田の、知らない人だよ」



笑って言っても
やっぱり治らない機嫌。



困ったな…。


3ヶ月ほど前、なんでだったかは忘れたが
すごく怒らせてしまったときがあった。


その時は一週間、口を聞いてもらえなかった。


毎日毎日、
バカみたいに
せんぱーい!と駆け寄って来てたそいつが居なくなるのはなんだか寂しかったのを覚えている。



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