君が好き
考えた結果おもいついたのは
「あ、千田
行こうか、祭り」
お祭りで綿あめでも買ってやればいいだろう、という単純なもの。
子供じゃない!とギャンギャン騒ぐかと思いきや
意外なことに千田はキラキラ目を輝かせた。
「一緒に?」
「うん、なんか買ってやるよ」
「やった!」
ひょこひょこ跳ねる千田にホッと息をついた。
俺はどうも、年下の女の子に弱い。
マモルの妹といい、千田といい、自分の妹も例外ではない。
だけど、
加藤はなんか、違う。
千田と同い年でも
抱く感情はやっぱり、全然違うんだ。
「ほんとですよ!絶対!先輩!約束だよ!!」
「あぁ、わかったから」
そのまま跳ねるように生徒会室へ入っていった千田を見送る。
加藤は、まだ電話中だろうか。
ゆっくり振り返ろうとしてやめる。
彼女の過去が、
大切な人がいるからなんだ。
俺が彼女を好きなんだ。
それでいいじゃないか。
「よし」
頑張れ、俺。