君が好き
「あ、いーところに来たよ優一」
「ん?」
生徒会室へ入れば
同学年の山田がやけに疲労感を漂わせながら近づいてきた。
「助けてくれ」
…なんて物騒なやつなんだ。
助けてくれって…
日常会話で使う機会がある言葉なのか、いや、普通ないだろ。
「…なんだよ」
「……模試が…」
「え?模試…?」
小さな声に耳を近づけたとほぼ同時
「やばいんだよ!模試!このままだと進学できねぇーの!」
「…あぁ…」
模試って
試験のやつな、あぁ。
「夏休みに伸びるって先生言ってただろ」
まだ来ない加藤の姿を、
自然と視線は探してしまう。
誰からの電話なんだろう…。
なんであんなに顔を曇らせてたんだろう。
なぁ、加藤、
俺に出来ることはない…?
「お前はいーよな自頭がいいから勉強しないでもある程度…」
ブツブツと呟く山田。
その言葉にあぁ、と思い出す。
そういえば俺、受験生なんだ。