君が好き
千田を挟んだ隣に座る加藤。
楽しめているだろうか、
笑っているだろうか、と。
そんなことばかりが気になって、
ただでさえ苦手な金魚すくいなのに集中力は散漫。
もちろん
「あ…」
簡単に破れた紙の部分。
「え、下手くそすぎるだろ」
「かいちょーへたっぴー」
「うるせ」
そんなやりとりに声をあげて笑った加藤に、あぁ、すぐに破れて良かった、なんてどこまでも単純な俺は、そう思ってしまう。
なぁ、加藤。
俺の中でさ、君は、
そんなにも特別で、大切だよ。
「あー、あの金魚が突っ込んで来たからー!」「と、おい!千田がでかい声だしたから破れただろが!」
「あはははは」
笑う加藤の手にはまだ新品のままのポイが。
「加藤、うまいんだな」
独り言のように呟いた言葉にでも加藤は笑う、
「小さい時よくしてたので」