君が好き
「ん?会長?」
「あ、ごめん、」
ニヤけが、止まらない…
「あ、こら。
だいきくーん!お魚さん掴んだら痛い痛いって
ごめんなさいは?」
「ごめんちゃい」
多分今自分は、
とんでもなく緩んだ顔をしているだろう。
その自覚がある。
あの後広場に行ったが迷子センターなんてなくて。
さらにはスピーカーは壊れてる、と言われ。
とりあえず千田と山田と合流しようかと思ったが、2人とは連絡がつかない。
て、ことで
加藤と少年、そして俺という3人で
だいきママ探しをして30分。
だいきはもうすっかりご機嫌で
なんとも羨ましいことに加藤の手をしっかり握っている。
「だいきくん、ママいない?」
「見えなーい」
人混みの中埋れてしまう小さな姿。
あ、そうだ
「だいき、おいで。」
しゃがんで叩いた肩。
「へー?」
よくわからない、という風に首を傾げるだいきの代わりに頷いた加藤。
「なるほど。名案ですね」
ニコッと笑う加藤が、だいきを抱き上げ中腰の俺の肩に乗せる。
つまりあれだ、肩車。
「つかまれよー」
立ち上がれば
上からは
うわぁ!と歓喜の声。
バタバタ足をバタつかされ若干痛いが、まぁ、そこはご愛嬌。
「ここからなら見えるだろ?」
「うん!」
嬉しそうな声。
どんな笑顔をしてるのか見えないのは少し残念だけど。
「よーし!ママを探そー!」
明るい加藤の声に
だいきは
オー!なんてまた明るい声をあげて。
胸に小さく灯りがともる。
あぁ、幸せだ、と。
確かにそう感じるんだ。