君が好き
「あ!」
しばらくその辺を歩いていると頭上から聞こえたその声。
「ままぁ!」
どでかい声に、
「だいき!?」
また聞こえたどでかい声。
パタパタと駆け寄ってきたその人は
少し面食らったようにこちらを見て
そのあと大きなため息をついた。
「ほんっとうに、ありがとうございました」
「いえいえ、そんな」
「こっちも楽しかったので…」
やっと見つかった、だいきママは勝手に消えたらしいだいきを怒ったあと
こちらに何度も何度も頭を下げた。
「ほんとに、全然、大丈夫なんで」
「でも…」
お金を渡そうとするもんだから困ってしまって、苦笑いをこぼす。
「また、な。」
頭を撫でれば、怒られて少し落ち込んでいた様子のだいきも笑顔を見せてくれた。
「うん、バイバーイ」
「バイバーイ」
「あの!じゃあ、これ…」
きりよく別れようとした時、
渡された紙きれ。
なんだろう。と思うが早いか
だいきの手に引かれながらその人は消えてしまった。