君が好き




「なんだろう?」

「さぁ?」


渡された白い封筒。
なんだろうと中身を取り出せば、


「…なんだ、これ」
「え!すごい!」


中に入っていたのは
この近所のスイーツ食べ放題の無料券。


「加藤、甘いもん好き?」
「…好きっちゃ、好きです」


嘘つけ。
開けた瞬間のあの輝いた目。
好きっちゃ好き、なんかじゃなくて、好きなんだろう、すごく。


「はい」

「え?」


あんな笑顔を見せてくれたお礼。
なんてことは言えないけど、

「誰かと行ってきな?」

多分、加藤は何かを欲しいって言うのが得意じゃない。

これまで接してきた中で加藤が
あーしたい、とか、こーしたい、とか。
言ってるとこを見たことないからよくわかる。


「え、でも…」
「俺、甘いもん苦手で。」

君が欲しがらないなら、
こっちは欲しいものを察して与えて上げるような人間じゃなきゃいけない。


「いや、でも…私は何もしてないのに、全部会長が…「加藤」


そんでいつか。
いつか、言わせて見たい。



欲しい、と。
俺が、欲しいって。




「こういう時は、ありがとうって笑ってくれた方が、男はカッコつくんだけど」



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