君が好き
4.涙
「…これってさ」
あの日から、
あのお祭りの日から2週間が過ぎた。
加藤への思いは増幅していく。
だけど、なくなったと思っていた透明な壁はどんどん厚くなっていくようで。
この狭い生徒会室の中でも
どうしてもその距離が遠く感じるんだ。
と、今はテスト一週間前。
部活動や委員会の活動は完全停止になるその日なわけなんだが。
…うわ、めんどくせぇ
最後の確認、
みつけてしまった会計のミス。
もちろん、こういう時に処理しなきゃいけないのは名ばかりでも会長、つまり俺の仕事なわけだ。
「上本、もう帰っていい?」
同学年の役員にそう聞かれ
苦笑いで頷いた。
あいつは今度のテストで成績下がったら
どうなるって言ってたっけな。
まぁ、とにかく結構ピンチらしい。
手伝ってもらうわけにはいかない。
「お疲れ~」
1人に帰っていい、といった手前
他の人を残すわけにもいかず。
続々と部屋を後にするみんなの声の中
「お疲れ様です」
当然のことだが、
彼女のものも聞こえてしまう。