君が好き





やっぱり、と
人懐っこく笑った千田は

「かとちゃん、彼氏いませんよ」

と微笑んだ。


それに微かに驚けば
クスクスと笑われてしまった。



「がんばれ、先輩」


「…ありがとう」


彼氏について聞こう、
がんばってみよう、そう思ってから2週間。


なに一つ進展出来なかった。


「情けないな、俺」

苦笑いをこぼせば千田も
本当ですよーと笑った。



テスト期間。


生徒会の活動がなくなれば
当然、会えなくなる。




「…大丈夫です、
先輩なら、大丈夫」

「え?」


「きっと、大丈夫」


驚くほどに大人の顔を見せる千田は、
ほんと、初めて見るようで、


ドギマギしながらも感じていた。





あぁ、自分はなんて甘やかされているんだ、と。

自分でしっかり立たなきゃいけない、と。









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