君が好き
まさか自分がこんな青春ごっこみたいな真似をするとは…。
だけど。
もし、もしも今誰のものでもないのに。
加藤が誰かと…
そう考えるだけで
胸が痛む。
苦しい。
失いたくない…
「加藤!」
言った通り、中庭に見つけた彼女の姿。
目の前に居る、
なんだか爽やかな男。
「加藤!」
振り返った加藤にもう一度呼びかけた。
こっちに来てくれ。
頼む、俺の方に来てくれ。
遠く、遠くに見える彼女の姿。
小さく影が揺れて、
そんで、こっちにゆっくり近づいてきた。