恋する背中
八雲くんの登場に皆の飲むペースが上がり、いつもより早く雑魚寝が始まる。いつもの光景だ。
ただひとつ違うこと……
背中が触れ合っているのは__ 八雲くんだということ。
目の前には田島くんがいるというのに、背中から彼を感じずにはいられない。
田島くんを起こさないように寝返りをうつと、八雲くんも振り返る。
彼の端正な顔が、目の前に現れた。
寝ていることをいいことに、柔らかそうな髪に唇にそっと触れていく。
と突然、彼が目を開いた。
「何してるの?」
バレてたっ!! 顔がカッと赤くなる。
「まだ俺のこと、好きなんだ?」
くすっと笑うと、顔を近づけキスをした。
「っ!?」
背中越しには田島くんがいる。止めてと声を出せない。
「ずっとこうしたかった……」
甘く囁かれ、思考が奪われる。
「でも今日はここまで。近いうちに全部もらうから」
まさかこんな日がくるなんて……
偶然の再会に感謝__そんな気分だ。