続きは、社長室で。―愛と誠―
窓の向こうはどんよりと重い曇り空が見え、それは寒さを助長しているようだ。
季節は寒さの続く冬。正確に言えば立春も過ぎたのだけれど、私はそう感じられずにいる。
登校時にはコートの他にマフラーと手袋は必須。それでも手先のかじかむ日は続いていた。
ちなみに校内でも、生来の冷え性からエアコンのきいた暖かい教室を一歩出れば身の縮む思いをしている。
次の授業は理科……。一段と冷える教室へ移動しなければならない。
普段はさして気にならない時間も、この時期だけは辛いものがある。
多分、まっすぐ続くリノリウムの無機質な床が体感温度を下げているに違いない。
テキストと数枚のルーズリーフ、そして重いペンケースを手に席を立った。
「菫(すみれ)」
すると背後から声を掛けられ、私は後ろを振り向く。
「蘭(らん)」
そこには同じくテキストなどを抱える友達が穏やかな顔でこちらを見ていた。