続きは、社長室で。―愛と誠―


こうして付き合っているとよく分かるけれど、蘭は本当に正直な女の子だ。


それなのに逆恨みから去年は一部の女子グループから呼び出しを受けたり、辛くて理不尽な思いもたくさんした。


だから、親友としてつい気になってしまう。



「東条先輩は元気?」

踊り場にさしかかった時、私はその場で立ち止まると何気なく尋ねてみた。


チラリと遠慮がちに彼女の顔を窺う私。でも、今日いちばんの笑顔を返してくれる彼女。



「実はね……、土曜日に奥様の計らいで拓海とテレビ電話をさせて頂いたの」

「本当に!?良かったね!」

「うん、ありがとう」


本当は土曜日の朝、登校した彼女の眼が赤くなっていたからひそかに心配していた。


弱いように見えて人に頼ることをしない蘭だから、私も彼女が話してくれるまでは無理に聞かないようにしている。


また辛い思いをしたのかと危惧していた分、嬉し涙だったと分かり心底ホッとしてしまう。


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