瑠哀　～フランスにて～

-5-

「ピエール、状況が変わった。計画をすぐにでも実行しなくてはならない」

「なに、何かあったの？」

「奴らがここに来ている。ルイと対面したんだ」

「ここで？それは、驚きだね。

このパーティーに出席できるのは、ある程度限られている。

相手も只者じゃない、ということか―――」



　ピエールは不意に瑠哀の顎をクイッと持ち上げた。

　その瞳が冴え冴えと光っている。



「これ、なに？

これが、ご対面？

今度は、彼女の身代わりじゃないんだろうね」

「……私、でしょうね」

「ルイ、僕の審美眼は厳しいんだ。

今度また傷を作るようなことがあったら、無理矢理ひきずってでも連れて帰るよ。

君が好きでやってることだから、口出しはしないけど、

いつまでもこんなことをやっていたら君の体がいくつあっても足りなくなる。

それを、覚えておくんだね。

今夜は、サーヤも半分責任があるから見逃してあげるけど、次はこうはいかないよ」

「サクヤは関係ないでしょう？

私が勝手にしたことだもの」


　ピエールは静かに目線を朔也に移す。


「わかっている、ピエール。二度とこんなことにはならない―――」



　朔也は真っ直ぐ前を睨んで頷いた。

　その瞳には何かの決意がはっきりと現れているかのようい強い輝きを見せていた。

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