瑠哀 ~フランスにて~
 ユージンは瑠哀を見上げ、ポロポロと涙を流し出した。


「ユージン、一人にして、ごめんね。

こんなに小さなユージンに抱えられないほどの重い責任を押し付けて、ごめんね。

たった一人でがんばってきたユージンに気がつかなくて、ごめんね。

でも、もう大丈夫よ。

私がいるわ。ユージンを傷つけたりしないと、約束する。

その銃を床に置いて、ユージン?」



 ユージンの腕が震えたまま、その指を離さない。

 瑠哀は暖かくユージンを包み込むように見つめながら、ゆっくりとユージンの前まで歩いて行く。



「ユージン、ごねんね一人にして。

一人で辛かったユージンに気付かなかった私を、許して。

もう、大丈夫よ。誰もあなたを傷つけはしないわ。

ユージン、私を信じて、それを床に置いて。

私の言っていることが、聞こえる?それは、とても危ないものなの。

お願い、ユージン」



 ユージンは首を振っているのか、嗚咽で体が揺れているのか、瑠哀に頷いているように見える。

 ポロポロと大粒の涙がこぼれだし、ぐしゃっと顔を歪めて、ウッウッと泣いている。



 瑠哀はその銃を掴んだ。



「ごめんね、ユージン。

でも、もう大丈夫よ。

もう、誰もあなたを傷つけたりしないわ。

大丈夫よ」
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