瑠哀 ~フランスにて~

-6-

「マーグリス氏はどう?」


 瑠哀は朔也が入って来るなり聞いた。


 朔也は椅子に腰掛けながら、答える。


「大丈夫だよ。

玉も無事に摘出された。

今は薬で眠っている」


 瑠哀は、そう、と安堵したように頷いた。


「二人とも、何があったのかは知らないんでしょう?」

「ああ。銃声が聞こえて駆けつけたら、すでにああなっていたから」


 ―――と言うことは、瑠哀と見たものと一緒のようである。


「何を話していたかも判らない?」

「なにも判らないんだ。

マーグリスがセシル達と会っていたのも、知らなかった。

―――今となっては、彼らを見張っておくべきだったかもしれないな」

「あなたのせいじゃないわ。

私も、あそこまでユージンを追い詰めていたなんて、気付かなかった…。

―――もう少し、気をつけて見ていれば良かったわ…」


 瑠哀は、ふう、と溜め息を吐いた。


「済んでしまったことをとやかく言っても、始まらないよ。

幸い、ひどい怪我人もでなかったから、良かったじゃないか」
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