瑠哀 ~フランスにて~
「早いわね。もう、そこまで読んだの?
―――それが、大いに関係あるのよ。
彼は法律上マーグリスとは何の関係もないの。
養子と公言されただけ」
「なんだって?
それじゃあ、マーグリスはただケインを養子にすると言っただけなのか?」
「そう、言っただけなの。
それが、マーグリスの経営方針なんですって」
「それ――は、また――。
噂によらず、ワンマンな男なんだな。まったく」
朔也は呆れたように長い溜め息をはいた。
「法律手続きも済ませていない男を、よくも養子だと言ってくれるよ。
そのおかげで、ユージンは狙われ、君は傷を負う。
まったく、よくやってくれる」
「そうね。
ヴォガーは、マーグリス氏が気の向いた時に、
その法律手続きをするつもりだったと言っていたわ。
彼はそれほど急いでいるわけでもなかったし、おまけに、病弱でもないから。
それだもの、ケインは焦ったでしょうね。
なにしろ、彼はなんの権利もないんだから。
ユージンがこの家に来ただけでも、彼の地位が脅かされるわ」
「そうだな」
「それに、ケインの連れも判ったわ。
名前は、リチャード・ユーゴ。
その中に写真があるでしょう?」
―――それが、大いに関係あるのよ。
彼は法律上マーグリスとは何の関係もないの。
養子と公言されただけ」
「なんだって?
それじゃあ、マーグリスはただケインを養子にすると言っただけなのか?」
「そう、言っただけなの。
それが、マーグリスの経営方針なんですって」
「それ――は、また――。
噂によらず、ワンマンな男なんだな。まったく」
朔也は呆れたように長い溜め息をはいた。
「法律手続きも済ませていない男を、よくも養子だと言ってくれるよ。
そのおかげで、ユージンは狙われ、君は傷を負う。
まったく、よくやってくれる」
「そうね。
ヴォガーは、マーグリス氏が気の向いた時に、
その法律手続きをするつもりだったと言っていたわ。
彼はそれほど急いでいるわけでもなかったし、おまけに、病弱でもないから。
それだもの、ケインは焦ったでしょうね。
なにしろ、彼はなんの権利もないんだから。
ユージンがこの家に来ただけでも、彼の地位が脅かされるわ」
「そうだな」
「それに、ケインの連れも判ったわ。
名前は、リチャード・ユーゴ。
その中に写真があるでしょう?」