瑠哀 ~フランスにて~
 朔也はクリップに目を留め、そこに挟まれている二枚の写真を取ってテーブルの上に投げた。


「こいつら?」

「そう。その賢そうなのが、リチャードよ。

奨学金を3つも貰っている坊やだそうよ。

単純なケインを相手にするのは簡単だけど、

彼とやり合わなくてはならなくなると、ちょっと厄介だわ。

頭が切れるだけに、なにを考えているのか想像もつかないもの」

「確かにな……」


 朔也は指で顎を掴みながら考え込むようにしている。


「ところで、あいつはなにか余計なことを喋ったの?

その格好で、余計なことを喋ってくれるのを期待していたんだろう?」


 冷ややかに瑠哀を見て薄い笑みを浮かべいるピエールに、瑠哀は目線だけを動かして見る。


「運などなくても、君になら、どんな男でも余計なことを話したくなるよ。

そんな色気のある姿で目の前に座られたら、食べたくなってしまうものだからね。

あいつも、おもしろいことを喋ったんだろう?」


「ピエールって、本当に勘がいいのね。

そんなに、私ってその手の女に見えるのかしら」

「君はその手の女じゃないよ。

ただ、君のその姿はある意味で妖しげだからね。

僕の言っていることが判るんだろう?」

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