瑠哀 ~フランスにて~
 瑠哀はにこりと微笑んだ。


「そんな大したものじゃないのよ。

ピエールのことは、知り合いが彼の作品のファンだったから。

カズキコーポ―レーションのことは、私がそっちの方面に興味があったから。

それだけよ」


 朔也もにこりと微笑んだ。



「ふうん、そうなんだ。

実を言うとね、その西欧全土のネットワークシステムはまだ試作段階中なんだ。

ヨーロッパにある企業なら大抵は知っていると思うけど、

日本の企業でこれを知っているのは、よほど大きな会社や研究室ぐらいなんだ。

普通の女の子が手に入れれる情報になるまで、まだまだ時間がかかると思うんだけどな」


 一瞬、瑠哀は横を見て沈黙する。すぐに、にこやかな笑みを顔に浮かべ、


「その系統に知り合いがいるの。

だからね、これくらいの情報は私でも手に入れれるのよ」


 朔也は軽く口を歪めて笑いながら、肩をすくるめるようにした。


「ま、今はそういうことにしておいてあげようかな。

いつまでも、友人に隠し事はしないだろうしね」



 朔也とピエールがチラリと瑠哀に視線を投げるようにした。

 瑠哀は困ったように少し唇を噛んであらぬ方向を向いていた。

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