瑠哀 ~フランスにて~
「もちろんです。

許すとか、許されないとか、誰にも決めることはできません。

ただ、あなたが心を入れ替え、あなたの犯した非に気付くことに、

本当の意義があるのだと思います。

罪を償い、ユージンを引き取り幸せにする。

そうして、いつかあなたは自分が許されたことを知るのだと思います。

私達には―――、いつも許される機会が与えられているのです」



 マーグリスの瞳から涙がスーッと流れ落ちて行く。閉じた瞳の瞼が微かに震えていた。



 その許された優しさが、今までの罪と過ちを取り除いてくれるようだった。

 なにか、堅いしこりが消えて行くようだった。



 嬉しいのだろうか。それとも、泣きたいのだろうか。

 ただ、心が泣きたかったのかもしれない。



 マーグリスはずっと目を閉じていた。
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