瑠哀 ~フランスにて~

-5-

 瑠哀達が階下におりて客室に行くと、二人の刑事が待っていた。

 瑠哀の姿を見て、一瞬、不審な顔つきをする。



 朔也はそれを横目で静かに見ていた。



 刑事達は立ち上がって瑠哀達に手を出し、軽く握手する。

 そうして、もう一度、椅子に腰をかけた。



 彼らが自己紹介をし、朔也も滑らかな口調で名前を言い、瑠哀を紹介する。


「―――彼女は、フランス語があまり話せませんので、

私が彼女の通訳をさせていただきます」

「わかりました。

早速、お聞きしたいことがあるんですが、よろしいですか?」


 朔也は日本語でそれを瑠哀に伝え、瑠哀は言われた通り、日本語で返事をした。



「どうぞ。彼女も準備ができているそうです」



 刑事は頷いて、ポケットから手帳を取り出した。

 パラパラと開いて、質問をしだす。



「あなたが死体の発見者ですね。それは、間違いありませんか?」


『ええ』


「どうして、あそこに死体があると知っていたんです?」

『私に電話があり、あそこにいると言われました』

「誰からです?」

『マーグリス氏の姉の孫にあたる人間です。

名は、ケイン、と。

彼はマーグリス氏の養子候補でもある人物です』
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